#53 住宅性能を見極める“数値” その2
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前回のブログ#52では、
住宅性能を比較する際に
指標になる数値についてご説明しました。
2021年4月からは、
『省エネ性能の説明義務化制度』も始まりました。
(この制度については、また別途近いうちにブログで解説します・・・)
その前提としても、
数値を元に「客観的に家の性能を比べる」という意義を
ご理解いただけたら・・・と思っています。
では、今回はさらに数値を掘り進めてみましょう!!!
Ua値、ηA値などそれぞれの数値は
「平成28年度省エネ基準」で区域ごとに設けられています。
北海道や東北などの寒冷地と、
温暖な九州では
異なる数値が設定されています。
地域によって異なりますが、
日本のおおよそを占める
5、6、7地域(関東・東海・近畿・中国・四国・九州の一部など)
を例にとると、次のような数値になります。
7地域・・・Ua値:0.87以下、ηA値:2.7以下
6地域・・・Ua値:0.87以下、ηA値:2.8以下
5地域・・・Ua値:0.87以下、ηA値:3.0以下
そこで、私たちの暮らす福岡県は
どの区分に該当するかと言うと・・・
7地域(福岡市・志免町・新宮町・粕屋町・芦屋町)
6地域(北九州市・久留米市をはじめ5地域、7地域以外地域)
5地域(東峰村)
以上のように設定されています。
ですが・・・
実際、この数値を下回っていれば充分なのか?というと
『快適に暮らせる』という点でみると少し不十分と言えます。
ではなぜ、基準として設定されている数値なのに
十分とは言えないのでしょうか?・・・
日本の技術水準は多くの面で世界で高い評価を得ていますが
さて、住宅の性能面に関して言えば、
実は・・・
環境先進国と比較するとまだまだレベルは低いと言わざるを得ず
ドイツなどに比べると30年遅れていると言われています。
ですので、
あくまでも平成28年省エネ基準は最低基準と考えて
できるだけ、より低い数値を目指したいところです。
では、「快適に暮らせる」レベルを目指すなら
どんな数値を指標とすればいいのか・・・
それが「HEAT20・G1グレード」
高性能住宅と言えるレベルの指標です。
【HEAT20とは】
「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の呼称
平成28年省エネルギー基準は、世界各国の基準と比べるとレベルが低いため、
民間のHEAT20の委員会が作った独自の基準です。
そのひとつがG1グレード。現行の省エネ基準を上回る、信頼性の高い住宅性能指標として認知されています。
では、HEAT20の設定値をみてみると・・・
【HEAT20 G1】
7地域・・・Ua値:0.56以下、ηA値:2.7以下
6地域・・・Ua値:0.56以下、ηA値:2.8以下
5地域・・・Ua値:0.48以下、ηA値:3.0以下
【HEAT20 G2】※さらに高いレベルのG2グレード
7地域・・・Ua値:0.46以下、ηA値:2.7以下
6地域・・・Ua値:0.46以下、ηA値:2.8以下
5地域・・・Ua値:0.34以下、ηA値:3.0以下
ηA値は平成28年省エネ基準の基準値と同じですが、
Ua値が大きく異なる点に注目です!!
Ua値がこのG1グレードを基準をクリアしていれば、
真夏や真冬でも各部屋の温度差が少なく快適。
健康で安心で省エネな心地よい暮らしが
できるものと考えます。
実際、どのレベルを目指すか、良しとするのかは
それぞれのご家庭によって
施工費など予算的なバランスもあるかと思いますが
福岡でで高性能住宅を建てる際には、
ぜひ上記の値を参考に検討してみてください。